地目って何?
私が購入したいと思った山林も見た目は「山」なのに、調べてみたら地目が「田」「畑」だったという場所が結構あります。
いわゆる「耕作放棄地」がさんりんになってしまったパターンです。そのような場合、購入できないのか?という疑問があったので色々調べてみました。
そもそも地目とは何かって話から・・・
地目とは
みんなの知識の集まりWikipediaによると以下の通りです。
土地の登記事項に地目が記されている。登記上の地目(登記地目)と実際の用途(現況地目)は同じとは限らず、異なっている場合もある。課税上の土地の評価(国税・地方税)は地目によって異なるが、評価上の地目(課税地目)は現況による。
だから何?って感じでわかったようなわからないような・・・
簡単に言うと、「税金を計算するために土地の種類で分けた呼び方」てな感じでしょうか。
そのため、土地の使い方が変われば地目も変更するのですが、地目の変更というのが曲者で、特に公共性の高い場所や日本の政策に関わるような場所(自給率を確保するための農地)と言うような場所は、簡単には地目の変更はできないようになっています。
地目はその土地の主な用途で、23種類に分けられています。
一般的なものは「宅地」ですが、山の場合は「山林」「保安林」「原野」「牧場」などがあります。あと、山林のように見えて、実際の場所も山にあるのですが、実は「田」「畑」というところもあります。
この中で、「保安林」「田」「畑」の場合、簡単には地目を変更することができません。(もちろん他にもありますが、今回はあくまで山林についておの話のためこれらについて記載しています)
理由は、先ほど挙げた通り自給率を確保するための農地法という法律で守られているためや、森林生産力向上を目的のための森林法により守られているためです。
地目変更の方法は鬼の手続き!
私が欲しいなあと思っている土地は、実は官公庁オークションに出品されている土地で、地目が「山林」「田」「畑」「保安林」「公衆用道路」と面倒臭い地目フルセットとなっていました。
そこで問題なのが、「田」「畑」となっている地目の部分です。実際に取引の条件に以下のような記載があります。
現況は非農地ですが、公売による買受人は、法務局で登記地目を畑から農地以外に変更しないと第三者への移転登記ができません。 (現況のままですと登記地目の変更が認められない可能性があります)
何を言っているかというと「今は農地として使われていないけど、登記の地目が農地になっているので地目を変更しないと所有者の変更ができません」という意味です。
で、「地目の変更しないと」というところが問題で、「田」「畑」「保安林」となっている地目は、先ほどお話しした通り、農地法や森林法によってそう簡単には変更できないんですよね。
ということで、ここからは実際に私が調べた内容を備忘録として残しておきます。ただし、私に必要なことについて調べているため、関係のない部分については省略しています。
実際には、細かい制約事項や場合分けがあるので、もし地目変更をしようとする場合はご自身でしっかり調べて下さい。(法的な手続き等については一切責任を取りかねます)
また、申請先などは自治体によって違う名称となっている場合もありますので、あくまで参考として実際に手続きする際は、ご自身の購入される土地を管轄している自治体に確認してください。
地目「田」「畑」の売買の場合、農地法第5条の許可申請が必要
タイトルのとおり、地目が「田」「畑」となっている場合、農地法第5条の許可が必要です。
農地法第5条
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
何を言っているかというと、「農地の権利の設定または移転を伴って農地を農地以外で使用する場合に適用される法律」ということです。
つまり、地目が「田」「畑」となっている土地を売買する場合、管轄する農業委員会でこの農地法第5条の申請を行い、許可が出ないと売買して所有者の移転、つまり登記をすることができないということです。
そこで、私が購入したい土地の管轄である千葉県某市について調べると「農地転用関係事務指針」というものがありました。
まあ、この指針が細かくて解りにくくて理解するのに苦労します。(まあ、私の頭のレベルがその程度ってことですが)
申請が必要な人
第5条の申請が必要な人は以下のとおりです。
農地や採草放牧地の所有者等(譲渡人等)と、農地等を転用す るために所有権等の権利を取得しようとする者(譲受人等)。
申請は、両者の連名による共同申請となるが、次の場合は、許可を受けようとする者が単独で 申請できる(則第10条第1項及び第57条の2第1項)。
① 競売、公売、遺贈等の単独行為による場合。
② 判決の確定、裁判上の和解、請求の認諾による場合。
③ 民事調停法による調停の成立、家事審判法による審判の確定や調停の成立による場合。
基本的に、売主と買主の両方が申請しないといけないということです。
ただし、私のように競売で取得する場合は①のとおり許可を受けようとする者が単独で申請できるとあります。
農地法の許可申請には「許可」と「届出」がある
区分 | 許可権限者 | |
許可 | 知事 | 農地・採草放牧地(農地にする場合を除く。) について、転用するために権利の設定・移転をする場合 |
指定市町村の長 | 指定市町村の区域内の農地・採草放牧地について、転 用するために権利の設定・移転をする場合 | |
移譲市の長 | 2ha 以下の農地・採草放牧地について、転用するために 権利の設定・移転をする場合 (2以上の市町の区域にわたるものを除く) | |
届出 | 農業委員会 | 市街化区域内の農地・採草放牧地について、転用するた めに権利の設定・移転をする場合 |
知事か指定市町村の長かという違いは、細かい農地に関する規定があって変わってくるようです。大まかな基準としては土地の広さが2ヘクタール以上かどうかというところのようです。
私の場合は土地の広さが2ヘクタール未満のため、「移譲市の長」に許可申請を提出する必要があります。
申請許可に必要な書類
恐ろしく多いです。しかも土地の用途によって提出すべき書類が違ってきます。
ここでは全てを記載するのは無理なので、省略させて頂きます。ただし、共通しているのは正式な書類は公的機関からの発行日から3ヶ月以内のものである必要があります。
申請の手続き
申請は受付の期間が決まっていて、毎月21日から25日の間に申請しないといけません。
手続きの流れは以下のとおりです。
- 申請者が申請書を提出
- 農業委員会が農業委員会 ネットワーク機構に諮問
- 農業委員会 ネットワーク機構から農業委員会に意見答申
- 農業委員会が知事管轄の農業事務所にネットワーク機構から受理した意見をつけて送付
- 農業事務所から同じく知事管轄の農地・農村振興課に報告
- 農地・農村振興課から関東農政局長に協議
- 関東農政局長からの回答を農地・農村振興課が受理
- 農地・農村振興課が受理→農業事務所→農業委員会→申請者の順に許可通知・指令書を送付
申請以降については大体の流れの「日」が記載されているのですが、日付なのか日数なのかがよくわからないため、ここではあえて記載しません。
見た感じだと結構時間がかかるようです。申請する場合は、あらかじめ余裕を持って手続きをするか、農業委員会に相談してみると良いかもしれません。